ACCNの活動

「若者きずな塾 10周年イベント」参加報告(テーブル05) 

2022.10.17テーブル活動紹介

テーブルNo5「就労困難者の自立のために(受け入れ企業へのキャリアコンサルタントとしての支援活動)」は、コミュニケーションが苦手などの理由で学校卒業後長期間定職についていない人々に対して企業と協力、連携して、定職に就けるように支援することを目標としています。月に一度の例会で、支援企画を検討したり、同様の活動をされている団体や企業の方に話しを伺ったりしております。先月の例会では、江戸川区の「若者きずな塾」塾長 狩野 賢 さんに参加いただき、運営等に関してお話しを伺いました。「若者きずな塾」は狩野さんの熱心な働きかけにより江戸川区と連携して活動している就労支援事業で、今年で活動開始10年目を迎えます。先日、10周年記念イベントが開催され、現地で25名、オンラインで最大24名の方が参加されたそうです。テーブルのメンバーがそのイベントに参加いたしましたので、レポートしてもらいました。
*「若者きずな塾」塾長 狩野 賢 さんには、11月9日の「テーブルフェス2022」にて取り組みについてお話しいただきます。詳しくは  こちら

江戸川区「若者きずな塾」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e030/shigotosangyo/shigoto/kizuna.html

◆ テーブルNo.5メンバー 渡辺洋子さん:
9月24日に若者きずな塾のイベントをZoomで見学しました。今回はきずな塾を見学する機会をいただき、ありがとうございました。とても勉強になりました。プログラム内容と、自分なりの感想を書いてみました。

=プログラム内容=
(1)きずな塾の3本の柱のご紹介
きずな塾は次の3項目を大切にしているそうです。
①助けてもらいながら生活する
②学習する
③健康でいる

(2)ブックシェア
2名のリアル参加者がお薦めの本を紹介しました。
・鴻池尚史「孤独と不安のレッスン」
孤独には、本当の孤独とにせものの孤独がある。
ー内容抜粋ー
にせものの孤独とは「一人は寂しい。安易に他人を求める」もの。本物の孤独とは「本当にしたいことへと導いてくれる」もの。
「どうして分かってくれないの?」と、何も言わなくてもわかってくれる人を求めるが、実はいない

・フシアシクモ「大蛇にとついだ娘」
発表者の推しポイント
蛇を擬人化しない、互いが少しずつ変わっていこう・近づいていこうとする姿

(3)10周年の文集づくりについての解説
話し合いを沢山持ち、人と話し合う中で少しずつ方向性が見えてきた。話し合う場を大切にしたい。人とのかかわりが辛くなくなった。人前で話すのが苦手でも好きな事なら話せるのではないか、ということでやってきた。

(4)これからのきずな塾についての話し合いと発表
参加者を増やしたい、他の場所で紹介したい、今の良い雰囲気を維持、開催場所を変えて市民の人も参加、他のイベントでつながる、個人的なつながりを濃くする、35歳まででなく上の人の話もききたい、グッズ販売、HPなどで塾生が発信、40代以上のきずな塾、全国の他の部ループとのネットワーク、卒業生が他の複数場所で開催(キャリコンがサポート)、
自分たちでやる塾にする、オンライン参加は便利、学校との連携、視野を広げ、精神障碍者も入れる、年齢の低い人にアクセス、居心地の良い環境作り(アロマなど)、独自のイベント作り、話さなくても相手とつながれるワーク(目で合図とか)、着ぐるみを着て歩く、動画配信の講座も作る

(5)きずな塾10周年プロジェクト 未来へつなぐきずな塾を考える
ビール工房など販売、ネット配信、労働法などを学ぶ、カードゲーム、ボートゲーム、自分たちで考える時間を作ることが大切

ー------------------
=上記プログラムについての感想=

(1)今の社会では,、①助けてもらいながら生活する がなかなかできない。その為、就労困難者に限らず、高齢者、ひとり親家庭、ヤングケアラーなど、生活することに困難を抱える人々が生きづらくなっていると改めて思い至りました。
そして、このような塾などで繋がりを持ち、共生する力を得ることの重要性を再認識しました。

(2)まず、人前で発表するという経験をすること自体に意味があり、自信につながります。どのような本に関心があるかを共有することで、他の参加者との接点ができると思います。また、この2冊ともとても示唆に富んでいるように思え、学べる本だと思いました。

(3)きずな塾参加者だけでなく現代社会の多くの人に言えるのかもしれませんが、人と十分に深く話す、という経験が少ないのかもしれないと思いました。話す、議論することできずなも深まるし、お互いが理解できたり、自分と異なる考えの人を受け入れたり、歩み寄るなどの経験ができると思いました。
それは、ただ漠然と話をするのではなく、何かミッションのようなものに向かって意見を交換する中で生まれることなのではないかと思いました。

(4)(5)沢山の希望のある意見が出てきて、参加者がこのように自由な発想を気軽に言い合える雰囲気が良いと思いました。

その他:どちらかというと狩野さんの指導力やお人柄があって、参加者の心を開き、未来へ繋げることができている塾なのかな、と思いました。
参加者が自発的にやりたいことを企画して実行していくのはこれからの課題でもあるのかな、という印象でしたが企画して実行するのを一人ではなく、皆で話し合って進めていくという姿勢が見えて、それはとても良いことではないかなと思いました。

私が関わっている「生きづらわーほりプロジェクト」(*1)では、私たちボランティアは「参加者が企画したいイベントを実行する」のをサポートするということを基本としています。「居場所作り」がメインです。ただ、企画・実行する当事者に負担がかかりすぎる場合もあって、その点について考える必要があると思っています。

今回見学してみて、参加者は沢山意見を持っていて、思い描くものもたくさんあって、それを話す場があるのは良いし、今後の塾やグループの方向性を形作るのに役立つと思いました。

(*1) 
◆生きづらわーほりプロジェクトでは、ACCNテーブル5と連携した取組み「おしごと懇談会ミニ」を11月に開催予定です。キャリアコンサルタントとのコラボ企画で、当事者の仕事に対する不安、現状などを整理し、仕事に関する情報を得て行動につなげることを目指します。キャリアコンサルタントにとっては、当事者の気持ちや困りごとなどを感じたり、学んだりできる場です。この企画は今後定期的に行っていきたいと考えています。
◆また、人と接することに不安や悩みをお持ちの方々に少しでもホッとできる空間を提供する「生きづらカフェ~こもりびとの波濤~」を毎月1回オープンしています。このカフェで私はキャリアコンサルタントとして、傾聴やカウンセリングを通して当事者の気持ちを少しでも軽くできるよう努めたいと考えています。
◆生きづらわーほりプロジェクトは、若者きずな塾を見学させていただいたことも参考にしながら、活動をさらにブラッシュアップしていきたいと思っています。活動にご興味のある方はご連絡下さい。(上記企画の担当:渡辺) 
 生きづらわーほりプロジェクトのサイトは こちら

◆ テーブル05主催者 井上彰則さんコメント:
このイベントに私もオンラインで参加しました。台風襲来の日にもかかわらず多くのリアルで多くの方々が参加されました。OB、OGの参加者も多かったようです。自己紹介で多くの人が「コミュニケーションが苦手だったので」ということでしたが、皆さんの発言や、な運営状況から、今ではお互いのコミュニケーションはスムースであり、皆さんお互いに助け合って活動してきたことがよく分かりました。
テーブル5においては、『就労困難者支援』というテーマで活動していますが、支援にあたりキャリアコンサルタントとしてはまずは就労困難者はどういう課題を抱えておられるのかどのような支援が必要かを知ること、またキャリアコンサルタントとしてどのような支援を行ったら良いかを知ることが大事と思っています。若者きずな塾のような団体と連携することが重要であると考えます。『キャリコンサルタントの資格をとったけれど実践の場が無い』という声も聞きますが、このような団体と交流することにより、実践の一歩を踏み出すこともできると思います。今後とも連携して活動していきたいと思います。

◆ 「若者きずな塾」塾長/未来キャリア研究所 代表 狩野 賢さんコメント:
この度は若者きずな塾10周年イベントへのご参加並びに感想をいただき、誠にありがとうございました。10年の集大成として、塾生自らが企画運営してみるという、やや心配な内容でしたが先輩格の塾生が中心となり、打ち合わせを重ね、他の塾生達も次第に協力していく過程を見る事ができました。その後の彼等の顔つきや態度が大きく変化していたことにも気づかれたかと思います。また後日沢山の方から感想や若者たちへの期待とエールもいただき大きな反響に驚きました。

レポートしていただいた通り、彼等は最初はそれぞれが抱えている問題とどう向き合うか?から始まり、安心できる「居場所」や「仲間」を得ることで、徐々に話せたり行動的になっていきます。私が若者きずな塾で行っていることは、様々なことが自身の歴史の中であって、忘れていた本来の「自分らしさ」を取り戻せるように外側からゆるやかにガイドをすることです。基本中の基本ではありますが、まずは全肯定・受容です。自身に悩み迷い動けない状態から就職まで、キャリアコンサルタントだからこそできる伴走支援です。

この活動を通して、今後はキャリアコンサルタント全体の課題である経験値を上げる「現場」の必要性とその永続性について考えることを提案していけたらと思います。また、キャリアコンサルタント歴18年の実践を自身の流派として継承へと移行していく考えも進行中です。10年かけて、若者きずな塾OBOGで組織する活動集団の下地もできました。彼等との歩みがキャリアコンサルタントの実践的質向上の「道場」となることでしょう。

コロナ禍ではありますが、キャリアコンサルタントの有用性と可能性を信じて、様々な展開をしていきます。皆様と共に頑張って行きたいと思います。素敵なレポートとこのような発信の機会をいただき、誠にありがとうございました。     


ACCNの活動一覧へ戻る